ジャイ・クロフォードが逆転でツール・ド・フィリピン個人総合優勝
KINAN Cycling Teamが2017年のUCI レースで最高のスタート

ツール・ド・フィリピン キナンサイクリングチームレポート

 

 

21th February 2017

●ツール・ド・フィリピン 2017 第4ステージ ダエト~ルセナ 207.35km

個人総合のポディウムに立ったジャイ・クロフォード
● KINAN Cycling Team 出場選手
ジャイ・クロフォード
山本元喜
椿大志
トマ・ルバ
中島康晴

 

KINAN Cycling Team が出場中のツール・ド・フィリピン(Le Tour de Filipinas、UCI アジアツアー 2.2)は 2 月 21 日、最終となる第 4 ステージが行われ、序盤に形成された逃 げグループがそのまま先行してフィニッシュ。この中に個人総合 9 位でスタートしたジャ イ・クロフォードが加わり、リーダージャージを着て出走したダニエル・ホワイトハウス 選手(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)に 2 分 25 秒先着。スタート時の総合 タイム差 2 分を逆転し、個人総合優勝を果たした。

 

個人総合優勝が確定し、チームメートと抱き合って喜ぶジャイ・クロフォード

 

 

ジャイ・クロフォードの個人総合優勝が決まり、喜びを爆発させる中島康晴

 

 

 

 

フィリピン最大の島・ルソン島を行く 4 日間の戦いは、いよいよ最終日。200km を超 える長距離は、大会のファイナルにふさわしい設定だ。中盤に 2 カ所のスプリントポイン トがあり、170km を過ぎたところで 2 級山岳がそびえる難コース。フィニッシュ直前に も上りがあり、最後は下り基調でのフィニッシュ。個人総合争いに大きな影響を与える可 能性を秘める、クイーンステージとなった。
KINAN Cycling Team はここまで、トマ・ルバが個人総合 6 位、ジャイが同 9 位につけ、チームが狙う UCI アジアツアーポイント圏内でレースを進めてきた。また、トマは 個人総合首位のホワイトハウス選手とは 37 秒差。逆転を狙ううえで、射程圏内に位置した。
午前 8 時のパレードスタート、その後のアクチュアル(正式)スタートを経て、しばらくは逃げ狙いのアタック合戦が続いた。均衡が破れたのはスタートから約 30 分後。7 人 がメイン集団から飛び出し、その中にジャイが含まれた。
先行する 7 人の中には、ホワイトハウス選手から総合タイム差 37 秒につけるエドガー ・ノハレス選手(スペイン、セブンイレブン RBP)も含まれ、ジャイにとっての当面の ライバルとなった。それでも、逃げグループを積極的に牽引するのはジャイ。メイン集団 とのタイム差は順調に広がり、リードは約 5 分となった。
追うメイン集団は、リーダーチームのトレンガヌサイクリングチームが主にコントロール。KINAN 勢は総合ジャンプアップをうかがうトマを筆頭に、山本元喜、椿大志、中島 康晴が次なる展開に備える。特に山本、椿、中島は序盤、ジャイを逃げグループに送り込むのに大きく貢献した。
逃げグループでは、タイムボーナスがかかるスプリントポイントで熾烈な争いとなる。 93.07km 地点に設けられた 1 回目のスプリントポイントでは、ジャイが 2 位通過で 2 秒の ボーナスタイムを獲得。一方で、ノハレス選手も 3 位通過で 1 秒のボーナスを獲得し、依然総合上位浮上を狙っての戦いがく。続く、130.25km 地点に設けられた 2 回目のスプ リントポイントでは、ジャイが 3 位通過で 1 秒のボーナスタイムをゲット。ノハレス選手 は後方で通過している。

 

ジャイ・クロフォードは 1 回目のスプリントポイントを 2 位で通過

 

 

アシストで貢献した椿大志

 

 

KINAN 勢が隊列を組んで進む

 

 

2 回目のスプリントポイントを 3 位で通過したジャイ・クロフォード

 

 

そして迎えるは、174.58km 地点に設定された 2 級山岳ポイント。10 %を超える勾配を クリアしたその先には、フィニッシュまでの約 30km に及ぶ勝負区間が控える。

10 %を超える勾配が選手たちをふるいにかけた

 

この上りでジャイは 2 位通過。後方のメイン集団では、トマを含む総合上位陣がペース アップ。上りの手前ではトマを先方に送り出すために、中島と椿が好アシストを見せている。
フィニッシュまでを急ぐジャイたちのグループは 5 人に絞られた。ノハレス選手が遅れ たこともあり、リーダージャージダッシュをかけてジャイが猛然と先頭グループを引き続 ける。トマを含む追走グループは、ホワイトハウス選手ら 8 人。こちらも下りを経て、勢 いが増している。
だが、序盤からの貯金が生きた逃げメンバーがフィニッシュまで残り 10km を切っても 3 分近いタイム差と、逃げ切りが濃厚となる。焦点はステージ優勝の行方と、ジャイの逆転 なるか。そして、フィニッシュへ。最後はスプリント力に勝るパク・サンホン選手(韓国、LX サイクリングチーム)が優勝。力を使い果たしたジャイは 3 秒差で続いた。
リーダージャージグループも懸命の追走。トマは待機に徹し、フィニッシュにのみ備える。そして運命の瞬間。ジャイから 2 分 25 秒遅れてのフィニッシュによって、ホワイトハウス選手はリーダージャージを明け渡すこととなった。
個人総合優勝の確定を待つジャイ。相次いでフィニッシュした選手たちや合流したチームスタッフとの願いが届いたのは、約 15 分後。優勝決定の一方に、チームはおおいに沸いた。
1 月のオーストラリア選手権を経て、コンディションを挙げていたジャイ。第 1 ステージで 5 位に入り好位置につけると、翌日の第 2 ステージで逃げに乗るなど、トマとともに 総合上位をキープし続けた。第 3 ステージで総合 9 位に順位を落としていたが、土壇場で 会心の走りをしてみせた。
チームは最終的に、ジャイのリーダージャージ獲得のほか、トマが総合 8 位となり、UCI アジアツアーポイントを獲得。再三のアシストでチームを勢いづけた中島が総合 13 位、 椿が総合 36 位。山本は最終ステージの 100km 地点過ぎにバイクを降りている。

 

2017年最初のUCIレースで最高の結果を残したKINAN Cycling Team。アジアやヨーロッパでの戦いを見据えるうえで、これ以上ないスタートを切ったといえよう。チームは 充実した戦力を最大の武器として、次なる戦いへと向かう。

 

 

ツール・ド・フィリピン第 4 ステージ(207.35km)結果
1 パク・サンホン(韓国、LX サイクリングチーム) 5 時間 0 分 13 秒
2 マット・ボーイズ(オーストラリア、クウェート・カルトゥーチョ.es) +0 秒
3 マリオ・フォイト(ドイツ、アタッキ・チームグスト)
4 ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
5 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +3 秒
6 エドガー・ノハレス(スペイン、セブンイレブン RBP) +2 分 26 秒
13 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +2 分 28 秒
29 中島康晴(KINAN Cycling Team) +8 分 8 秒
41 椿大志(KINAN Cycling Team) +8 分 8 秒
DNF 山本元喜(KINAN Cycling Team)

 

 

個人総合時間賞
1 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team)17時間33分7秒
2 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム) +28 秒
3 フェルナンド・グリハルバ(スペイン、クウェート・カルトゥーチョ.es) +51 秒
4 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト) +52 秒
5 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +55 秒
6 エドガー・ノハレス(スペイン、セブンイレブン RBP) +1 分 2 秒
8 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +1 分 5 秒
13 中島康晴(KINAN Cycling Team) +14 分 5 秒
36 椿大志(KINAN Cycling Team) +40 分 17 秒

 

ヤングライダー賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)17 時間 33 分 35 秒

 

チーム総合時間賞
1チームUKYO 52時間47分14秒
2 KINAN Cycling Team +7 分 25 秒

 

ポイント賞
1 パク・サンホン(韓国、LX サイクリングチーム) 26pts
6 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 11pts
14 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 2pts
18 中島康晴(KINAN Cycling Team) 1pt

 

山岳賞
1 マリオ・フォイト(ドイツ、アタッキ・チームグスト) 24pts
2 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 15pts
10 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) 3pts

 

 

●監督・選手コメント

石田哲也監督 「シーズン初戦で最高の成績が残せてうれしいと同時に、今後に向けてよい流れになる感触を得ている。2017 年の KINAN Cycling Team の方向性が見えたレースになった。
初戦とあって、どんなレースができるのか楽しみな反面、不透明な部分もあったが、実際にレースに臨んでみるとみんなが機能して、他チームが数的優位な局面となっても、われわれはジャイとトマという 2 つのカードを有効に生かすことができ、最終的な結果につなげられた。予定していたプラン通りにレースができたことが何よりの収穫。最後まで攻撃的な姿勢を崩さないことが、チームによい効果をもたらしている」

 

ジャイ・クロフォード 「ベリーハッピーだよ。チームメイトに恵まれ、株式会社キナン・角口賀敏会長、すべて のスポンサー、ファンによい報告ができることをうれしく思う。みんなにとって最高の 1年のスタートだ。
ツール・ド・フィリピンのタイトルは獲得したことがなかった。UCI ポイント獲得にもつながったし、申し分ないね。今大会はあらゆる可能性があったけれど、とにかく自分のペダルに力を込めるだけだった。この勝利は自分だけではなく、チームみんなで勝ち取ったものだ。
今日のレースに関しては、エドガー(・ノハレス)選手が要注意だった。今大会は強さを発揮していたし、一緒の逃げに入ったことで、勝負を左右する存在となった。ラスト 20km で僕がアタックしたときに、彼が続けなかったんだ。これが僕にとって今日最大の仕事となったね。山岳賞狙いだったマリオ(・フォイト)選手との利害が一致して、よい展開に持ち込むことができた。
次なるターゲットは、3 月のツール・ド・とちぎ。今度はチームに恩返しができるような走りをしたいと思っているよ」

ジャイ・クロフォードにはフィリピンメディアが多数コメントを求めた

 

 

山本元喜
「暑さに苦しんだ 4 日間だった。寒い日本から、気温の高いフィリピンに来て、消耗して終わってしまった。そのあたりをどうクリアしていくかが今後の課題。帰国後のトレーニングで意識をしていきたい。あとはコンディションを上げていくだけなので、今回のレースはよいトレーニングにもなった。
連携面は、毎年チームメンバーが変わっていく中でレースをこなしていくので、特に気にすることではないし、今回のレースを通しても問題がないことを感じた」

山本元喜もスタート

 

 

椿大志

「逃げが決まる直前の動きが目の前で起こっていたが、乗ることができず悔しい。その後 はトマのケアに集中し、カテゴリー山岳を前に引ききって仕事を終えた。
エースとしてもアシストとしても経験を積んだメンバーばかりなので、毎ステージ臨機応変に動けていたし、その結果がジャイの個人総合優勝につながったので何も言うことはない」

最終ステージを出発した椿大志

 

 

トマ・ルバ

「シーズン最初のレースでチームが勝利できたことがうれしい。毎日アグレッシブなレースをして、みんなの働きによってジャイの個人総合優勝が得られた。初めて同じチームで 走る選手が多かった中で、ジャイを盛り立てるためにみんなが一丸となって働いたことに意味がある。
次はツール・ド・とちぎに向けて、コンディションを整えていきたい」

スタート前のトマ・ルバ

 

 

中島康晴
「KINAN Cycling Team メンバーとしてのデビュー戦で、よい結果を残したいとの思いでレースに臨んだ。初日からジャイとトマが総合上位につけたことで、僕自身も逃げに乗 る機会が生まれたし、最後には素晴らしい結果が得られたので本当にうれしい。最高のシーズンインとなったので、keep going の姿勢でさらに上の成績を目指していきたい。
みんな経験豊富なので、シーズン初戦でも連携面には何の問題もなかった。あうんの呼吸となるよう、より精度を高めていきたい」
アクチュアルスタートに向かう中島康晴

 

 

写真紹介

最終ステージを前に選手・スタッフで記念撮影

 

 

KINAN Cycling Team、チーム UKYO、ブリヂストンアンカーサイクリングチームの日 本勢 3 チームがそろう

 

 

スタート前の最終確認

 

集中した面持ちの椿大志

 

 

ジャイ・クロフォードはスタートを目前にしても笑顔を見せる

 

 

スタート直前にアーチが崩れるハプニング

談笑しながらコースへと繰り出すジャイ・クロフォード

 

 

パレード走行中、椿大志がカメラに向かってポーズを決める

 

 

プロトンが 0km 地点を通過

 

 

アタックと吸収の繰り返しは約 30 分続いた

 

 

集団内で進むトマ・ルバ

 

 

トマ・ルバにはアシストがついて勝負どころに備える

 

 

逃げグループを率いるジャイ・クロフォード

 

 

ジャイ・クロフォードの牽引は長時間に及ぶ

 

 

未舗装区間に入ったジャイ・クロフォード

 

 

逃げグループの先頭を走るジャイ・クロフォード

 

 

厳しい登坂区間もジャイ・クロフォードが先頭を走る

 

 

ジャイ・クロフォードは最後の最後まで攻めの姿勢を崩さなかった

 

 

シケインが連続するダウンヒル

後方の集団からフィニッシュを目指す中島康晴(左)と椿大志

 

 

 

ステージ 5 位でフィニッシュしたジャイ・クロフォード

 

 

お互いの働きを称えるジャイ・クロフォード(左)とトマ・ルバ

 

 

 

ジャイ・クロフォード(左)と中島康晴が健闘を称え合う

 

 

レースを終えた 4 選手で喜びの記念撮影

 

 

ナンバーワンポーズを決めるジャイ・クロフォード

 

KINAN Cycling Team 選手・スタッフで記念撮影

 

 

選手・スタッフで祝勝会

 

 

閉幕セレモニーで改めてジャイ・クロフォードの個人総合優勝が祝われた

 

 

t&photo:Syunsuke FUKUMITSU

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