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連載コラム

連載 自転車徒然草

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第22回「自転車日和は、稲刈り日和」

豊穣の秋、黄金色に彩られた田園地帯では稲刈りが最盛期を迎えている。6月に人生初の田植えを体験した僕も、自転車に乗って稲刈りに出かけてきた。

愛知県犬山市今井。人工の農業用ため池としては日本で2番目に大きいといわれる「入鹿池」が近くにあり、周辺には野外博物館「明治村」などの観光資源と自然豊かな里山に囲まれた、のどかな場所である。この地に名古屋から移住し、自給的生活をするために自然農園を始めた友人がいる。農園の屋号は4歳と2歳になる2人の子ども(男の子)たちの名前からつけられ「日々喜環(ひびきめぐる)」という。犬山の地に腰を据えて、農薬や化学肥料に頼らず自然の営みに従いながら米や麦、野菜などを育てる、自然に即した農生活をしている。

この自然農園「日々喜環」で僕が田植え体験をしたのが6月、早くも4ヵ月近くが過ぎたことになる。みんなで1本1本手植えした稲は、風雨にも負けず、暑い夏を越えて順調に育ち、今や穂をいっぱい実らせて頭(こうべ)を垂れている。いよいよ収穫の季節である。
自然農園「日々喜環」でも稲刈り会が9月19日(月・祝)、23日(金・祝)、25日(日)、10月1日(土)の4日間おこなわれるというので、僕は9月23日(金・祝)に参加することにした。 6月の田植えの時は、自転車をクルマに積んで出かけ、田植えを始める前に近くの入鹿池の周りをぐるり1周、サイクリングを楽しんだ。入鹿池周辺はほどよいアップダウンの道が続き、ヒルクライムの練習にももってこい。入鹿池を周遊するサイクリストも多く見られた。サイクリング後には本来の目的の田植えを終日頑張ったところ、翌日、筋肉痛に見舞われてしまった。(その時の模様は、自転車徒然草/第18回「自転車と田植えと筋肉痛」を)
今回は、名古屋から犬山まで自転車で行ってみようと考えた。片道30km強。まる1日農作業をしても、田植えの時の経験からいうと自走で帰れるだけの体力は残っているはず。まぁ、翌日の筋肉痛は確定かもしれないけれど…。



稲刈り用の鎌を購入

田植えでは手植えしたように、今回の稲刈りも手で刈っていく。そこで必要となるのが「鎌」。ホームセンターで安いもので200円くらいから売っているというので買いに行った。


稲刈り用に購入した鎌と長靴

稲刈り用の鎌は、刃先がギザギザの鋸刃になっていて稲の切断が容易にできるように工夫されている。売り場には数百円のものから万単位のものまで並んでいる。高価なものは見た目もかっこいいし切れ味も良さそうな感じだ。こうした農作業の道具に限らず、プロ用のツールを見ているとなんか楽しくなる。これって自転車のパーツを観てワクワクするのと同じ感覚だろうか。


台風一過の秋晴れのもと犬山へ出発!

9月20日〜21日にかけて台風15号の接近に伴い中部地方では大雨が降り、各地で浸水被害が相次いだ。河川の増水が激しかった名古屋市では、100万人以上に避難指示・勧告が出された。100万人以上というと、名古屋市の人口が約220万人なので市民の2人に1人である。犬山市今井でも、集落の中央を流れる成沢川(入鹿池の水源のひとつ)が溢れそうなぐらいに土手ギリギリまで増水。場所によっては水没している田んぼもあったそうだが、「日々喜環」農園では無事問題なく稲刈りができるということだった。

稲刈り当日の9月23日(金・祝)、秋分の日。爽やかな秋晴れの空模様で、稲刈り日和となった。午前10時に友人宅に集合して、稲刈りは午前10時半からスタートだ。
名古屋から犬山まで片道30km強だと自転車で1時間半くらいか。余裕を見て8時には出発するつもりでいたが、気がつけば8時半を過ぎていた。急いで鎌と長靴、軍手に作業着などもろもろをバックパックに詰め込んで出発。

秋、この季節はやはり絶好のサイクリングシーズンである。台風一過の澄みわたる青空のもと爽やかな風を切って走ると、ペダルをこぐ足も軽くなる。まず、名古屋市街から県道30号を北上して郊外へ。しばらくすると、名古屋の都心部と市の北東部を結ぶ、名古屋ガイドウェイバス「ゆとりーとライン」の高架横を走ることになる。


道路の中央分離帯上にあるのがガイドウェイバス専用の高架

ガイドウエイバスというのは、バス車両の前後輪に取り付けた案内装置の誘導で走る、鉄道とバスの利点を組み合わせた交通システム。専用の高架軌道を走るため、朝夕のラッシュ時でも定時・高速運行ができるというわけだ。高架と併走して、ゆるやかな坂道を上っていくと、左手に名古屋城を鎮護する尾張四観音(笠寺観音、甚目寺観音、荒子観音、龍泉寺)のひとつ「龍泉寺」の参道入口が見えてきた。


名古屋北部を流れる庄内川、
台風15号の接近で氾濫し広範な浸水被害が出た

庄内川を越えて名古屋市から春日井市に入り、さらに春日井市から小牧市へ。小牧市の丘陵地にある名古屋市のベットタウン「桃花台ニュータウン」を抜けて、県道453号を走り続けると道はやがて平均勾配約4.5%の登り坂になる。ギアを軽くしてペダルを回しながら坂を上ると、ようやく犬山市だ。


ワカサギやブラックバスの釣り場としても人気の「入鹿池」

2kmほどつづく上り坂を越えると「入鹿池」に到着。貸しボート屋さんが建ち並ぶ池畔からだと、「日々喜環」農園のある犬山市今井はちょうど対岸側の奥になる。もうひと走りだ。 入鹿池の北側、犬山市今井の友人宅に着いたのは午前10時50分くらい。走行距離は33km、所要時間は1時間30分少々といったところ。さてこれから、いよいよ稲刈りだ。


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