HOME連載 > 自転車徒然草第23回「車道走行を徹底へ!自転車通行環境に改善のメス」ページ1

連載コラム

連載 自転車徒然草

next 2 1 back

第23回「車道走行を徹底へ!自転車通行環境に改善のメス」

今に始まった話ではないが、自転車に乗る人のマナーや交通ルールの違反が問題になっている。 近年、健康や環境への意識の高まりを受けて自転車の利用が増加。東京などでは東日本大震災後に自転車で通勤・通学する人も増えている。自転車人口が増えるのはうれしいことだが、一方でマナーの悪化や交通ルールを無視した運転も後を絶たないという。数の増加による質の低下。それに伴い多発する自転車事故が、社会問題としてマスコミでも報道されるようになっている。

全国で起きた自転車が関連した交通事故は、昨年(平成22年)15万1626件、10年前の平成12年の0.87倍。交通事故全体の20.9%を占めている。しかも自転車乗用中の事故で死傷した人の約3分の2(65.2%)に、何らかの法令違反があったという。自転車事故の主な要因は、「安全不確認(急な進路変更など)」「一時不停止」「信号無視」など。さらに最近は歩道を無秩序に通行する自転車による事故も多発しているようだ。例えば歩行者の間を激走したり、無灯火で、ケータイ片手に、あるいはヘッドホンをしたままなど、ルールを無視した身勝手な自転車運転が横行している。


こうした交通ルールを守らない危険自転車の対策に、警察庁が動いた。
10月25日、警察庁は自転車利用者の違反に対する指導・取り締まりを強化するとともに、自転車は原則「車道走行」を徹底させる総合交通対策を新たに打ち出したのである。
スポーツサイクルに乗る多くのサイクリストにとって「自転車は車道走行」なんて、当たり前の話かもしれない。それはそうなのだけど、今回のことはやはり画期的だ。何しろ、日本では長年にわたって「自転車は歩道走行」という流れを容認してきた。それを今回大きく転換するものであるのだから。



自転車は「車両」である

本来、自転車は道路交通法で「軽車両」に規定されていて、自動車と同じように車道(車道の左端)を通行するのが原則になっている。ただ例外的に歩道の通行が認められているのは、道幅が2m以上で「自転車歩道通行可」の標識表示がある歩道。そして「13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者などの場合」と「自転車通行の安全を確保するためにやむを得ない場合」、つまり自動車の交通量が多くて車道を自転車が走ると危険な道路では、自転車が歩道を通行してもよいことになっている。
こうした一部の例外を除き、従来から自転車は車道を通行するように定められている。しかし、指導は徹底されず、いつしか多くの人が自転車は歩道を通るものと考え、結果として歩道に自転車と歩行者が混在しているのが現状である。


それを今回、改めて「自転車は原則車道を走るもの」とした。自転車通行が可能な歩道を減らすとともに、車道に自転車レーンなどの整備をすすめることにより、自転車と歩行者の分離を図り、悪質で危険な自転車の取り締まりも強化するというのだ。



自転車が走れる歩道の見直し

道幅2m以上で「自転車歩道通行可」の標識があり、これまで自転車での通行が認められていた歩道であっても、今後は自転車の車道走行徹底のため、道幅3m未満の歩道は自転車通行が原則禁止となる。ただ道幅3m以上の歩道は、従来通り自転車の通行ができる。歩道をまったく自転車が走れなくなるわけではない。となると、道幅の広い歩道では相変わらず交通ルールを無視した危険自転車が走ることになるかもしれない。また、道幅3m未満で通行不可になった歩道であっても、ルールを無視して自転車で走行する人が続出することがあるかもしれない。やはり通行環境の整備とともに、交通ルールの徹底も重要になってくるだろう。


歩行者と自転車の通行レーンが区分されている歩道もあるが、その区分が守られていなかったり、通行レーン上が駐輪場のようになっているケースも多々ある。こうした歩道の環境整備もこれからは必要だ


危険自転車の取り締まり強化!

今回の自転車交通総合対策では、自転車通行が可能な歩道の見直しとともに、自転車の交通ルールの周知や安全教育をすすめることになっているようだ。交通ルールを守らない違反者には罰則があることや、事故の加害者になった時には刑事責任を負ったり損害賠償を請求されたりすることなどを周知徹底するとか。
しかも、交通違反の自転車に対しては指導・取り締まりを強化するという。違反自転車には「指導警告票」を交付。指導警告に従わない悪質な自転車、例えば飲酒運転や、ピストと呼ばれるブレーキがない競技用自転車などには、いきなり刑事罰を科す交通キップを切るなどして積極的に検挙していくということだ。

僕が住んでいる名古屋市でも、愛知県警による危険自転車の一斉取り締まりがおこなわれたようだ。ルールを周知して、秩序を作り上げていくためには、今後もこうした違反の取り締まりも厳しくすすめていかなければいけないのかもしれない。
自転車は身近な乗り物だが、あくまで車両である。公共の場を走る以上、ルールを守ることが求められる。ルールが無視されれば、誰もが加害者にも被害者にもなり得る。そのことを十分自覚しておく必要があるだろう。


back 1 2 next