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連載コラム

連載 志智散歩

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第29回「ものづくりの現場で、常識破り?の自転車部品を発見」


今回の志智散歩は、65年という歴史を有し、超精密金属切削加工、
航空機のジェットエンジン用軸受の製造を手掛ける
株式会社近藤機械製作所を訪ねました。

なぜ、シッチーがものづくりの現場に?
と不思議に思われるかもしれませんが、
自転車と大いに関係のある場所だったのです。


株式会社近藤機械製作所は、愛知県海部郡蟹江町にあります。
創業は1947年(昭和22年)。
65年以上にわたってさまざまな産業界に、
高品質な製品・技術を提供してきました。
近年では、超精密分野に特化したものづくりを展開するとともに、
2005年に航空機分野に本格参入し、
航空機用ジェットエンジン用軸受け部品の製造を手掛けています。





なんだか自転車とは無関係そうな製造現場を訪問したシッチーを迎えてくれたのが、
近藤信夫社長でした。

「はじめまして」。
初めての工場訪問でやや緊張気味に挨拶するシッチー。

近藤社長から、会社の成り立ちやこれまでの事業の経緯などの説明を受けた後、
いよいよ本題に。




本題というのは、近藤機械製作所が2011年4月に発売した
自転車用ハブとホイールの新ブランド「GOKISO(ゴキソ)」のこと。
発売以来、その製品の特性が注目され、
自転車用雑誌や新聞などでも取り上げられていますが、
シッチーも自転車関係者からその噂を何度となく耳にしていて、
今回の訪問を心待ちにしていたのです。




「GOKISOって、すごい性能を持っているようですね」と質問するシッチーに
「究極の性能を求めて開発したんですよ」と近藤社長。

聞けば、5年ほど前の出来事がきっかけだとか。
近藤社長の実弟の近藤豊専務が自転車レースに新車で出場。
何事もなくレースを終えたのに、ハブが壊れていた。
「おかしいなということで、ハブを分解して調べてみたら、
使用されている材料の品質や設計に問題があると感じたのです。
それで、より完成度の高いハブを独自技術で作ってみようと考えたのが、
GOKISOの出発点です。
自転車部品は未経験でしたが、
これまで培ってきた技術力やネットワーク力を投入すれば不可能ではない、
と思ったのです」。

近藤社長は、最高の品質を実現するため、
航空機の部品製造で用いられる技術を最大限に発揮するなど、
常識破りの発想で開発に取り組んだそうです。
そして何度も試作品を作っては壊し、たどり着いたのが現在の製品です。

何が常識破りか。その1つは、GOKISOに使用されるベアリング。
精密級“P5等級”のベアリング(NTN製)を採用。
さらに、航空機の軸受の技術を活かし、回転の摩擦を徹底的に減らし、
シャフトの振動を抑制することに成功。

これにより、体重の負荷や路面の凹凸をしなやかに吸収する構造体に。
走行テストは、なんと最高時速300km/hで実施。
これら従来の自転車業界では考えられない施策を駆使して、
最高時速303km/hに耐える回転性能と10万km走っても
メンテナンスのいらない高耐久性を実現したのです。


リアハブ
フロントハブ

「自転車に携わっていなかったからこそ、
規制概念に捉われず最高の品質を求めて開発できたのでしょう」
と語る近藤社長ですが、
当初、課題を指摘する声が多かったといいます。
ネックになったのは、その重量。
一方では最高品質を求めたがゆえに、
他社製品と比べて約倍近い重量になっているためです。


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